こんにちは。Manahau Dogのきむらです。

皆さん 質問です。

犬は食べちゃ駄目ですか?

先日、こんな本を読みました

ぼくらはそれでも肉を食う 人と動物の奇妙な関係

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この本はまだ日本では馴染みがない”人類動物学”と言う学問の学者が書いた本。
人類動物学とは人間と動物の関係を研究する学問だそうだ。

人間と動物とは切っても切れない関係で生きている。
ペットとしての動物、食べ物としての動物 色々な関わり方があります。

一方では動物を家族として可愛がり、また一方では殺して食べる。
他の生物種に対し、理屈では説明しがたい部分もある。

例えば、先ほどの質問した犬に対する質問。
僕たちは牛や豚、羊や鶏などの動物を殺して栄養素として食べている。

犬も動物の一種だが、ほとんどの国では食べてはいけない動物とされている。
日本でも犬の肉を食べる人はいないだろう。

しかし、なぜ食べてはいけないのかその理由を
合理的に正当化することは難しい。

また、ペットとして飼われている犬や猫は肉食動物であり、
犬や猫のために多くの動物が殺されている現実がある。

数は少ないがヘビをペットにしている人もいる。
そのペット用にネズミ等をあげている人もいるが、ネズミはよくて子猫を餌としてあげては駄目なのか?

等々 なかなか興味深い話が本書各所に出てくる。

その中から、印象深かった話を1つここでご紹介します。

皆さんは、闘鶏ってご存じですか?
鶏のオス同士を戦わせるのが闘鶏です。 アジアや南米で盛んに行われています。

アメリカでは鶏の足にナイフを付け、死ぬまで戦わせるそうです。(違法)
とても残酷なことだと一般的には言われています。

ここで質問です。

皆さんは鶏になるなら
闘鶏の鶏か、食肉用の鶏かどちらになりたいですか?

そもそも、闘鶏はどのような人がやっているのでしょうか? 
ほとんどの人は闘鶏家は動物虐待するような人たちで、
ドラッグなどを売っている人に思われがちだそうだが、彼らはうんざりするほど普通の人が多いそうだ。

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そして、鶏が大好きで話し出したら止まりません。

闘鶏用の鶏は2歳になるまでは対戦されることもなく
サラブレッド競走馬の用に大事に育てられます。

8〜9ヶ月までは養鶏所で自由で過ごし、その後は引き離され
ブリーダーでは大概自由にあちこち動き回れる大きなケージに入れるそうです。

鶏の食べ物はある闘鶏家の場合
健康食品専門店で買ったオーガニックコーンを始め
朝食に固ゆで卵、夕食に果物とサラダ用の野菜 1日おきにカッテージチーズも与えるそうだ。

一方、食肉用の鶏はどのような一生を過ごすのだろうか。

食肉用の鶏はプロイラーと呼ばれ、世界中で一番普及しているのは
「コップ500」という品種。

本書の中では、このコップ500を「食肉マシン」と称している。

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昔の鶏に比べるとコップ500は5倍の早さで成長し、6〜7週間で解体される。
また、昔は1,1kgまで鶏を育てるのに4ヶ月もかかったが、
今のプロイラーは出荷される時点で2.3kgくらいにはなっている。

それだけ早く成長すれば、餌のコストもカットできる。

しかし、大量飼育されているプロイラーの骨はその急激な成長についていけない。 
歩行困難、腱の断裂、肢のねじれ症を起こし激痛に襲われるそうだ。 

産業用プロイラーには関節炎、心臓病、突然死、各種の代謝異常が蔓延している。

加え、環境は最悪。
ひな鳥達は太陽も空も目にすることはなく、糞尿で汚れた鶏舎で過ごす。

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そして、2.5kgもすぎた頃には出荷される。

さて、闘鶏の鶏と食肉用の鶏 どちらになりたいですか?

このように、世の中にはどれが残酷で残酷ではないかと一概に言えない部分が多くある。

本書にはその矛盾は人それぞれの感情が大きく関わり
思っているよりずっと複雑だと言っている。

クジラの問題もそうであろう。 

捕鯨に反対している多くは欧米諸国。彼らは日本よりも肉食文化があり多くの動物を食べている。 
強く反対しているオーストラリアではカンガルーも間引きされている。

しかし、クジラは統計的に数が増えようと、増えてなかろうと
彼らにとってクジラを捕るのも食べるのも嫌なものは嫌っということだろう。

(シロナガスクジラを始め、絶滅が危惧されている種類もあるが、
ミンククジラ、ナガスクジラなどは捕鯨しても問題ない数がいると言われている)

この問題は感情が大きく関わっているとしか思えず、落とし所はないように思える。 

なかなか難しい問題だ。

僕達、犬を飼っている人の多くは動物が好き。
それと同時にほとんどの人は動物を食している。

動物の関わり方に正しい、正しくないと線引するのは難しい。
今回紹介した本も約400ページもあるが、結局のところ答えは提示されていない。

それは当たり前で答えはない。

しかし、普段 動物倫理などを考える機会は少ないが
このような本に出会い、そのような問題を考える機会があってもいいのではないかと思った。

犬を飼っている皆様にはおすすめの本です。

今日の教訓

動物倫理ってなんだろう? 

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