日本ではあまり知られていませんが、世界の多くの国では 飼う犬種、
輸入できる犬種が厳しく規制されています。

英語ではBreed-specific legislationと言われているものです(BSL)

ある国や地域などでは、その規制されている”犬種”というだけで、
外に出る時は口輪を付けなくてはいけない法律、条例になっていたりします。
どんなにフレンドリーで訓練されたイヌでも例外なくその地域では
”その犬種”というだけで口輪を付けなくてはいけません。

今世界で一番の槍玉に挙げられてる犬種は アメリカン・ピットブルという犬種(上記の写真)

元々は闘犬のために改良されてきた犬種です。 筋力も噛む力も強いです。

ヨーロッパの国々、アメリカ オセアニアではこの犬種に対して各国何らかの法律や規制があると思います。
ニュージーランドもアメリカン・ピットブルは輸入禁止犬種です。
またNZはその他の犬種も輸入の規制があります。
フィラ・ブラジレイロ、
ドゴ・アルヘンティーノ、
ペロ・デ・プレサ・カナリオ(ドゴ・カナリオ)  
そして日本の土佐犬も規制されています。

どの犬種もたくましく、基本的には闘犬種。
これらのイヌはニュージーランドでは散歩するだけでも
口輪を付けないと行けません。
確かに、これらの闘犬種は他の犬種より体も大きいし、
噛む力も強いです。 事故になれば、大きくなってしまします。

マスコミもピットブルが噛傷事件を起こすと
鬼の首を取ったように「ほら見たことか!」と大々的に報道します。
それ以外の犬種の報道はほとんど見たことはありません。 実際起きているはずなのに・・・

これも犬種差別の一つ。

”犬種的”にこれらの闘犬種が危険である科学的根拠はありません。

アメリカに犬の気性(攻撃性や安定性、神経質等々総合的な性格)を テストをする団体(ATTS)があるのですが
そこのテストによるとピットブルの成績は優秀。 86.8%のピットブルがテストの合格しています。

チワワの合格率は68.3% 柴犬は64%

因みに人気犬種のミニチュアダックスフンドの成績は以下のとおり
Dachshund (Miniature Longhaired) 88.9% ←合格率
Dachshund (Miniature Smooth) 80.6%
Dachshund (Miniature Wirehaired) 83.3% なかなかですね。

僕自身は以前より噛傷事故を減らすためには、
犬種の規制だけでは改善しないのではないかと思っていました。

規制、または禁止にしてしまうと地下に潜ってしまい
余計コントロールするのが難しいのではないかと。
役所に登録し、正しく飼っていている人が規制を受け、
闇で飼っている人のほうが自由にできる。等々 不平等を生みます。

そんなことを思っていたらこんな記事を見つけました。

危険な犬を巡るドイツの試行錯誤 (リンク)ドイツで獣医さんをやってらっしゃる方のコラムです。
記事によると、首都のベルリンでは今まで行われていた犬種規制を廃止し
2013年より「飼い主の免許制度」を導入することを事実上決定したみたいです。
先にその制度を導入した地域では成果も上がり、事故率も下がっているらしい。
そうそう そういうことなんです!

生まれながらにして攻撃的な犬はいない! 必要なのは犬種の規制ではなく、
その犬種を扱う知識。

問題になっているワンコたちは力が強いし、活発なワンコ達です。
ある程度の犬の知識を持っている人でなければ扱いきれないのも事実。
必要なのは知識。
そういった事実を一生懸命伝え続けた、ドイツの獣医師会 犬関係者には敬服いたします。

犬種の規制ではなく、ふさわしい飼い主を選定し飼ってもらえばいいこと。
知識や飼う環境が整っていないにもかかわらず、”かっこいいから”とか、”番犬用に”とか
安易に入手できる環境を絶つことにも意味があると思います。

これは犬を飼う人全体にも言えることでしょう。
犬を飼う準備、決意ができている人のみが犬を飼う必要があります。
犬種による気性や特性などの違いがあるにせよ どんな犬種にも事故を起こす可能性が秘めています。

特定の犬種を規制しても、事故の件数は減っていません。
そんな過ちにいち早く気付き、実行しているドイツ。 すばらしい。

一歩も二歩も動物行政では遅れている日本。
大型犬は人気犬種ではなく、大きな事故も少ないため 今のところ、犬種の規制にはいたっていませんが、
欧米を見習って 犬種の規制をするような事は起こらないよう願うばかりです。

ただ、ドイツ ベルリンで導入されるライセンス制度は賛成です。
安易に犬を飼い、捨てる人が減ることでしょう。

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